内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

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吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

言いにくい言葉

第3期国定教科書『尋常小学国語読本』 巻10より

ナマムギナガゴメナガタマゴ。
ナマムギナマモメナマタマゴ。
いく度(ど)もくりかえしているうちに、太郎(たろう)は
生麦(なまむぎ)生米(なまごめ)生卵(なまたまご)
と、早口(はやくち)にすらすら言えるようになった。太郎は得意(とくい)になって、
「おとうさん、こんなに言いにくい言葉は外(ほか)にないでしょう」
と言うと、父はにこにこ笑いながら、
「おとうさんは、もっと言いにくい言葉を知っている」
「何という言葉ですか」
「〈はい〉という言葉と、〈いいえ〉という言葉だ」
「〈はい〉〈いいえ〉たいへんやさしい言葉ではありませんか。どうしてそんなに言いにくいのです」
父は「誠(まこと)にやさしいようだが、それでなかなか言いにくい場合(ばあい)があるのだ」
翌日(よくじつ)、太郎が友だちの正雄(まさお)・良一(りょういち)と3人連(づ)れで、学校から帰るときのことであった。「本道(ほんどう)は遠いから近道(ちかみち)を通ろう」と正雄が言うと、良一はすぐ賛成(さんせい)した。その近道というのは田の畦(あぜ)道で、途中(とちゅう)にはかなり深い小川にかけ渡(わた)した一本橋(いっぽんばし)がある。太郎は前から父に、「あの橋(はし)は危険(きけん)だから決して渡ってはならない」と固(かた)く禁ぜられていたのであるが、友だちのすすめをことわりかねて、いっしょに渡り出した。すると橋はまん中から折れて、3人は水中におちいった。さいわい付近(ふきん)で働いていた村の人びとに助けられ、何(いず)れもぬれねずみのようになって家に帰った。
父は「お前はどうしたのだね。かねてあぶないといっておいた、あの橋を渡ったのではないか」
とたずねたが、太郎はだまっていた。
その夜また父に強く聞きただされて、太郎はやっと今日の次第(しだい)をありのままに話した。
父は「なぜそのとき、〈いいえ、僕(ぼく)は止められているから渡りません〉と、きっぱりことわらなかったのか」
「僕は再三(さいさん)ことわったのです。すると、しまいに皆(みな)が僕のことを〈弱虫(よわむし)〉だといって笑いました。僕は残念(ざんねん)でたまらなくなったので、〈何このくらいのことがこわいものか〉と、自分から先に立って渡ったのです」
「なるほど弱虫だ。人の言うことに対して〈いいえ〉と言い切るには、ほんとうの勇気(ゆうき)がいる。お前のような弱虫には、ひょっとすると命を失うようなあぶないときでも、言い出すことのできないほど、〈いいえ〉という言葉は言いにくいのだ。それからまた、昼間(ひるま)私が聞いたとき、なぜすなおに〈はい〉と言わなかったのだ」
「僕なんだかきまり悪くって、そう言えなかったのです」
「それごらん。〈はい〉も言いにくい言葉ではないか」
太郎はつくづくと自分の悪かったことを後悔(こうかい)するとともに、「はい」と「いいえ」の言いにくいわけをさとることができた。