内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

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吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

陰性能力

第9章 教育とネガティブ・ケイパビリティ(抜粋)

ネガティブ・ケイパビリティ(答えの出ない事態に耐える力) 帚木 蓬生 朝日新聞出版

 

 ネガティブ・ケイパビリティ(negative capability 負の能力もしくは陰性能力)とは、「どうにも答えの出ない、どうにも対処しようのない事態に耐える能力」をさします。

あるいは、「性急に証明や理由を求めずに、不確実さや不思議さ、懐疑の中にいることができる能力」を意味します。

 

解決できない問題に向かうために

こうした教育の現場に働いているのは、教える側の思惑です。もっと端的に言えば「欲望」です。教える側が、一定の物差しを用いて教え、生徒を導くのです。物差しが基準ですから、そこから逸したさまざまな事柄は、切り捨てられます。何よりも、教える側が、問題を狭く設定してしまっています。そのほうが「解答」を手早く教えられるからです。

しかしここには、何かが決定的に抜け落ちています。世の中には、そう簡単には解決できない問題が満ち満ちているという事実が、伝達されていないのです。前述したように、むしろ人が生きていくうえでは、解決できる問題よりも解決できない問題のほうが、何倍も多いのです。

そこでは教える側も、教えられる側も視野狭窄に陥ってしまっています。無限の可能性を秘めているはずの教育が、ちっぽけなものになっていきます。もう素養とか、たしなみでもなくなってしまいます。

この教育の場では、そもそも解決のできない問題など、眼中から消え去っています。いや、たとえ解決できても、即答できないものは、教えの対象にはなりません。

教育者のほうが、教育の先に広がっている無限の可能性を忘れ去っているので、教育される側は、閉塞感ばかりを感じとってしまいがちです。学習の面白さではなく、白々しさばかりを感じて、学びへの興味を失うのです。

問題設定が可能で、解答がすぐに出るような事柄は、人生のほんの一部でしょう。残りの大部分は、わけが分からないまま、興味や尊敬の念を抱いて、生涯かけて何かを摑みとるものです。それまでは耐え続けなければならないのです。私が思い出すのは、第2章で述べたビオンの言葉です。ネガティブ・ケイパビリティを持つには、記憶・理解・欲望が邪魔をするとビオンは断言します。

現代の教育は、到達目標という欲望があるために、時間に追われながら、詰め込み記憶を奨励しつつ、とりあえず理解させようとします。ネガティブ・ケイパビリティが育つべくもありません。

教育現場からの賛同

2年前、スクールカウンセラーをしている臨床心理士の方から、受講後に手紙をもらいました。そこには、「ネガティブ・ケイパビリティの考え方は、現在、生徒指導上の難問が山積みになっている学校現場にこそ必要な視点だと存じます」と書かれていました。

私はやっぱりな、と膝を打って納得したのを覚えています。手紙には、続けて重要な所感も綴られていたので、そのまま紹介します。

学校にいますと、ときに指導困難、解決困難な事例に出会うことがあります。そんなとき、誰もが、途方に暮れてしまうことになります。

そのような、どうやっても、うまくいかない事例に出会ったときこそ、この「ネガティブ・ケイパビリティ」が必要となってきます。

今の時代は、「こうすれば、苦労なしで、簡単に、お手軽に解決しますよー」のほうが受けるのです。でも、お手軽な解決ばかり求めてしまうと、何かが欠落していきますし、結局は行き詰まってしまいます。なぜならば、「世の中には、すぐには解決できない問題のほうが多い」からです。

ことによると、学校現場は、すぐに解決できない問題だらけかもしれません。したがって、教育者には問題解決能力があること以上に、性急に問題を解決してしまわない能力、すなわち「ネガティブ・ケイパビリティ」があるかどうかが重要になってきます。

そして、私たちだけでなく子供たちにも、問題解決能力(ポジティブ・ケイパビリティ)だけでなく、この「どうしても解決しないときにも、持ちこたえていくことができる能力(ネガティブ・ケイパビリティ)」を培ってやる、こんな視点も重要かもしれません。

解決すること、答えを早く出すこと、それだけが能力ではない。解決しなくても、訳が分からなくても、持ちこたえていく。消極的(ネガティブ)に見えても、実際には、この人生態度には大きなパワーが秘められています。

どうにもならないように見える問題も、持ちこたえていくうちに、落ち着くところに落ち着き、解決していく。人間には底知れぬ「知恵」が備わっていますから、持ちこたえていれば、いつか、そんな日が来ます。

「すぐには解決できなくても、なんとか持ちこたえていける。それは、実は能力のひとつなんだよ」ということを、子供にも教えてやる必要があるのではないかと思います。

見事に、この第9章の骨子を言い尽くした手紙です。