内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

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吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

神様だって既読スルー

東山 彰良

――前略――

 束縛されるのがイヤなんでしょ?よく訊(き)かれる質問だ。うん、そうかもしれない。不便じゃない?べつに。個人的なことをなにか発信したいとは思わないし、赤の他人とつながりたいとも思わない。エゴサーチの泥沼からはずいぶんまえに自由になった。インスタ映えなんかにはうんざりで、どこの馬の骨とも知れない奴からの「いいね」に血道をあげるなんて、なにかの冗談としか思えない。

 それよりなにより、自分の全能感をこれ以上助長したくない。

 

 手を触れなくてもドアが開けばいいのに。ある日、誰かがそう考えた。おかげで自動ドアができた。階段上るのタリィな、階段のほうで勝手に動いてくれればいいのに。また誰かがそう思って、エスカレーターが発明された。電気、ガス、水道、エアコン、車、飛行機。誰かの夢想が、つぎつぎに現実になっていく。恋人と愛をささやき合いたいけれど、自宅の電話ではきまりが悪いし、相手の親に取り次いでもらうのも緊張する。

 さあ、携帯電話の登場だ。世の中、どんどん便利になるぞ。頭で考えただけで、世界が思いどおりになる。手紙のやりとりをしていた時代は、相手の返事が届くまで1週間でも10日でも平気で待てた。だけど、またしても誰かがもっと早く返事を欲しがった。それでeメールが開発された。おかげで文章のやりとりが格段に速く、便利になった。それでも飽き足らず、瞬時に返事を欲しがる奴が出てきた。だから、LINEが普及した。

 頭で考えたことをすぐに叶(かな)えられるのは神様だけだ。社会が便利になるということは、人が神に近づいていくことを意味する。私たちは底なしに欲しがる。そしてスマホとは、そんな私たちが神になるための魔法の杖(つえ)のようなものなのだ。もしも私たちひとりひとりの全能感がスマホによって止めどなく肥大化し、神に近づいていくのだとすれば、神と神のあいだに生じるのは断絶だけだろう。なぜなら全能感の行き着くところとは他人を意のままに操ることで、そんなことはほとんどの場合、不可能なのだから。

 社会はこれからも人間の全能感を満たすべく発展していくし、欲しがりつづける私たちはその恩恵をたっぷり受けることになる。けれど、けっして私たちの思いどおりにならない領域もある。たとえば恋愛や子育てが教えてくれるのは、何事も自分の思いどおりにはならないということだろう。既読スルーくらいのことでも、充分(じゅうぶん)こたえる。私たちはみんな神様なので、シカトされると傷つく。おまえなんか取るに足りない存在だと言われるのだから、無理もない。

 人生なんてままならないことだらけだ。それでも、どうにか耐えていくしかない。なのに、スマホのせいで私たちはますますこらえ性がなくなっている。私がケータイを持たないのはなにも精神鍛錬のためではないが、スマホの反対語は「我慢」なのではないかと思うのだ。