内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

各種
保険取扱

吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

医学講義  アナフィラキシー

――抜粋――

こわいもの知らずの病理学講義  仲野 徹  晶文社

 ウイルスとかアレルギーとかだと、よく聞く言葉なので、なんとなくどういうものかがわかります。けれど、適切な訳語がないためにカタカナのままにされていて、ちょっと聞いてもなんのこっちゃようわからん言葉もときどきあります。その例のひとつがアナフィラキシーです。

フランス人生理学者ロベール・リシェは、1902年にイソギンチャクの毒を犬に注射し、どれくらいの量にまで耐えられるかという実験をしていました。中には生き残る犬もでてきます。その犬には毒に対する免疫ができて防御されるようになっているはずなのに、ごく少量の毒を注射しただけでショック死してしまうことがあるのを発見します。

防御(ギリシャ語でphylaxis)が無い、ということで、打ち消しの接頭辞であるaをつけて、この現象を、aphylaxie(アフィラキシー)と名付けました。アフィラキシーというのはどうも発音がしにくい、というので、後に、同じ意味のanalylaxieアナフィラキシーと変更されています。

アナフィラキシーの発見以来、100年以上たっているのですから、研究が進み、いろいろなことがわかってきています。現在では、アナフィラキシーとは「組織のマスト細胞や末梢血中の好塩基球から、免疫グロブリンEを介して放出される生理物質によって引きおこされる急性の全身性反応」と定義されます。

いくつもの種類の白血球が、生理的活性物質を放出することによっていろいろな反応がひきおこされます。そして、そのような物質――ケミカルメディエーターといいます――にはものすごくたくさんの種類があります。好塩基球とマスト細胞の顆粒はよく似ていて、顆粒に存在する生理的活性物質のうちでいちばん重要なのはヒスタミンです。

マスト細胞や好塩基球が刺激されると、顆粒が放出されて、ヒスタミンの作用が発揮されます。どのような作用があるかというと、血管の拡張、血管透過性の亢進、平滑筋の収縮、粘液の分泌亢進、などです。う~ん、ややこしい、と思われるかもしれませんが、ヒスタミンにはこれだけ多彩な作用があるのだから仕方ありません。

血管が拡張すると血圧の低下につながります。血管の透過性が亢進すると、血管の外へと水分が漏れ出して浮腫になります。平滑筋は、胃や腸といった消化管、気管支などいろいろなところに存在しますが、怖いのは気管支の収縮で、アナフィラキシーに伴って気道が収縮して呼吸困難になることがあります。気管支からの粘液分泌が増えるので、さらに拍車がかかります。

ヒスタミンの作用がよくわかるのは、蚊に刺された時です。蚊の唾液にはマスト細胞からヒスタミンを放出させる成分がはいっています。蚊に刺されてぷくっと腫れるのは、ヒスタミンの作用で血管の透過性があがって、局所的に浮腫になるからです。それから、あのイヤな痒みもヒスタミンのせいです。今度蚊に刺されたら、おっヒスタミンが作用しとる、とか思い出してみてください。

次は、どのようにしてヒスタミンなどの生理物質が放出されるかです。免疫グロブリンというのも、多くの人にはなじみがないと思われますので、これも説明がやっかいです。抗体というのは、異物である抗原に結合するタンパクです。そして、抗体の物質名が免疫グロブリンです。その免疫グロブリンには、免疫グロブリンA、D、E、M、Gの5種類があります。

それぞれに働きが違うのですが、免疫グロブリンEがマスト細胞や好塩基球にいちばん関係のあるもので、顆粒を放出させる働きがあります。マスト細胞や好塩基球の表面には、免疫グロブリンEに対する受容体があって、免疫グロブリンEがいっぱいくっついた状態になっています。そこに、免疫グロブリンEが認識する抗原がやってきて結合すると、受容体を介してシグナルがはいり、細胞から顆粒が放出されるのです。その顆粒の中には、ヒスタミンをはじめとする物質がはいっているので、先に書いたような作用が発揮されます。

免疫というのは、外来の異物に対して生じる防御反応で、免疫反応によって排除される異物が抗原と定義されます。アレルギーというのは、おなじみの言葉ですが、その免疫反応が過剰におきてしまう状態をさします。Ⅰ型からⅣ型まであるのですが、アナフィラキシーに関与するのはⅠ型のアレルギーで、アレルゲンに接して数分で生じるので、即時型反応とも呼ばれます。アレルギーを引き起こす抗原のことをアレルゲンと言いますが、アレルギーもアレルゲンもドイツ語由来です。英語でもスペルは同じですが、アラジーとかアラジェンといった発音になります。

ということで、アナフィラキシーが「組織のマスト細胞や末梢血中の好塩基球から、免疫グロブリンEを介して放出される生理物質によって引きおこされる急性の全身性反応」という意味がわかっていただけましたでしょうか。繰り返しになりますが、ヒスタミンの作用が一気に発揮されてしまうわけですから、喘息や気道の閉塞による呼吸困難、じんましん、下痢や腹痛、そして、血圧の低下などが生じます。書いているだけで苦しくなってくるような症状です。血圧低下がひどくなってショック状態になるのがアナフィラキシーショックなわけです。

食物や薬剤などが原因になりうることはご存じのとおりです。アナフィラキシーショックの治療には、アドレナリンが使われます。アドレナリンでとりあえず血管を収縮させて血圧をあげてやるのです。なので、アレルギー体質の人でアナフィラキシーショックをおこす可能性が高い人は、アドレナリンを充塡した注射器の携行が薦められています。

時々報道される、ハチに刺されてショック死というのもアナフィラキシーショックによるものです。年間に20~40名とされていますが、多いのか少ないのか、なんともようわかりません。アナフィラキシーショックの場合、ハチに刺されてから15分程で死に至るとされていますから、山の中とかだと救急車などとても間に合いません。もちろんアドレナリンもないし、ハチに刺されただけで致命的になってしまうこともありえますから、気をつけるに越したことはないですね。