内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

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吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

三つの名言

先哲が説く指導者の条件

安岡 正篤   PHP文庫

――原典:水雲問答、甲子夜話、松浦静山(肥前平戸藩主:1760~1844)――

 

明治の時期に識者が伝承して、言い伝えたおもしろい話の1つに、世に普及した3つの名言がある。1つは「馬鹿殿様」という言葉、もう1つは「糠(ぬか)味噌(みそ)女房」という言葉、そしてもう1つが「女房と畳は新しいが好(よ)い」というもので、明治時代、これらは名高い識者の逸話であったのですが、大正時代からその本当の意味が曲解されてしまいました。

「馬鹿殿様」というのは、実は非常な褒め言葉なんであります。大勢の家来の中には下らない奴(やつ)もおるだろうし、悪い奴もおる。しかも自分の上には目を光らせている意地の悪い幕府当局がある。その中で悠々と藩を維持していくというのは、なまじ小利巧な殿様ではとてもできたものじゃない。よほど馬鹿にならんと治めていくことはできない。『論語』にも、「その知及ぶべし、その愚及ぶべからざるなり」(「公冶(こうや)長篇(ちょうへん)」)という名言がある。馬鹿殿様というのは、その「愚及ぶべからざるなり」という意味で、わかったようなわからんような、悠々として、すべてを包容して、事なく治めていくなんて、小利巧な人間、小才の人間ではとてもできる芸当ではない。「馬鹿殿様」というのは、その意味でもおもしろい、活きた言葉であります。

「糠味噌女房」という言葉も世間は誤解しておる。鼻持ちならん所帯じみた古女房と解釈されているが、そうではありません。これは酒を飲まん人にはわからんが、どんな道楽者でも最後は気の利いた香の物で茶漬けを食べるというのが、これはもう徳川時代・明治時代、共通の男の楽しみであった。それで女房の中でも、最も気の利いた者は酒の後には気の利いた香の物を用意しておいてくれる。しかも、糠味噌は放っておいたらすぐだめになりますから、始終引(ひ)っ掻(か)き回して新鮮にしていなければうまい香の物はできません。女房の仕事の中で1番骨身にこたえるのが糠味噌です。それで女房の至れる者を「糠味噌女房」という。「馬鹿殿様」と好一対の褒め言葉です。

それからもう1つ、最もよく普及したのが

「女房と畳は新しいが好い」

という言葉である。女房と畳は新鮮なほどいい。夫婦というものは新婚当時は新鮮だけど、間もなく貧乏所帯で古びてしまって、その第1番が畳に表れる。畳の薄汚れた所に住んでみることほど気持ちの悪いものはない。そこで、常に畳を新鮮にしておく。裏返しをし、それでも汚くなったら取り替える。なるほど、畳だの寝巻だのというものは、いくらも金のかからんもので、新鮮にしたというだけで生活が非常に意義のあるもの魅力あるものになるのである。とかく人間は不精になって、いかにも貧乏所帯じみてしまう。それと同じように女房の立ち居しぐさは新鮮であったほうがいい。何も女房を取り替えるという意味ではないので、常に新鮮に保つという意味です。「糠味噌女房」と「馬鹿殿様」と3つ揃(そろ)って、封建時代からの味のある諺(ことわざ)であったのだが、いつの間にか3つとも、完全に誤解されて、とんでもない意味に使われておる。いかに世間にはわからん者が多いか、気の利かん者が多いか、ということの1つの実例であります。