内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

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吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

ボートに積むもの

ボートの三人男

ジェローム・K・ジェローム 丸谷 才一訳 中公文庫

 

ぼくたちが作った第一案は没にするしかなかった。必要として挙げただけの物を積みこんだら、ボートがテムズ河の上流でつかえてしまうのは明白だった。ぼくたちはリストをやぶき、顔を見合わせた。

ジョージが、

「ぜんぜん間違ってたよ。入用なものを考えちゃ駄目なんだ。なくちゃ困るものだけ持ってゆくことにしよう」

と言った。

ジョージもときどき、ひどく分別のあることを言うから驚く。この意見はたいへん深い智恵にみちたものであるとぼくは思う。今の場合に関してだけではなく、ぼくたちが生活の河を旅する場合についても一般に正しいのである。なんと多くの人が、旅を楽しくするために必要だと考えて無用のがらくたをボートにつめこみ、みずからの身を危険にさらしていることだろうか。

彼らは貧弱な小さな舟に、きれいな服や立派な住居をマストの高さまでつめこむのだ。無用の召使いたちや一群のしゃれた友だち――2ペンスの値打もなければ、1ペンス半も出そうとしないような連中――をつめこむのだ。

むやみに金がかかるだけで誰も面白がることがない娯楽、形式、流行、体裁、見栄――ああ、なんてくだらないことなんだ!他人にどう思われるかという心配、ただ退屈するだけの贅沢、鼻についてしまった快楽、むかし犯罪者にかぶせた鉄の帽子のように、かぶると血を流し、頭がいたくなって気絶する虚しい外観、をつめこむのだ!

厄介物である。諸君、こういう類(たぐい)のものはみんながらくたなのだ。そんな積荷は投げ捨ててしまえ。そんなものがあっては、ボートは重くて進めない。くたびれていて、オールもとれない。邪魔であり、危険である。一瞬たりとも、不安や心配を免れることができぬし、一瞬たりとも体をやすめ、ウトウトといい気持になることができない。浅瀬の上を軽やかに通りすぎる風の影、小波のなかに揺れ動く日の光のきらめき、岸辺に立って水面に影を写している大きな樹木、緑と金に輝く森、白と黄の百合、暗くふるえる藺や管や野(オー)蘭(キス)や青い忘れな草を見まもる暇なんてありゃしない。

がらくたは投げ捨ててしまえ。ただ必要な物だけ積みこんで――生活の舟を軽やかにしたまえ。簡素な家庭、素朴な楽しみ、一人か二人の心の友、愛する者と愛してくれる者、一匹の猫、一匹の犬、一本か二本の愛用のパイプ、必要なだけの衣料と食料、それに必要より少し多目の酒があればそれでよいのだ。なぜならば、喉の渇きは健康上きわめてよくないものだからである。

こうすれば舟を進めるのが楽だし、簡単にはひっくり返らない。また、もしひっくり返っても、そう大したことはないのである。質がよくて簡素な商品には、耐水性があるのだから。われわれには、働く時間も必要だが考える時間も必要だ。生活という日光を楽しみながら、一杯飲む時間も必要である。風の神がわれわれ人間の心の琴線(きんせん)をかきならして奏(かな)でる風の音楽に、耳かたむける時間も必要である。