内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科
吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。
高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に
内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

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吉川内科小児科 生薬方剤による漢方診療(保険適用)

吉川内科小児科は、愛知県名古屋市中村区、名古屋市立豊臣小学校の西にある内科小児科医院です。高血圧や、肥満などメタボリックシンドローム、リセット禁煙、漢方診療(保険適用)を中心に内科・小児科・アレルギー科・リハビリテーション科の診療をしています。お気軽にご相談ください。

徒然日記

ザイルパートナー

バッグをザックに持ち替えて       唯川 恵  光文社

 もしも、の時はどうするのだろう。もしも片方が滑落し、片方がそれを止める。しかし、このままではふたりとも助からないという状況に陥った時、ザイルはどうするのか。

最悪の場合、切るという決断をするのだろうか。それとも運命を共にするのだろうか。

かつて、有名な登山家のインタビュー記事を読んだ。

「ザイルを切らなければ2人とも死ぬ。ザイルを切れば相手が死ぬ。そういう局面に遭遇した場合、あなたはどうしますか」

その登山家は当然のように言った。

「ザイルを切る。そのために、いつもポケットには小型のナイフを入れている」

その時は、それだけの覚悟と決断力がなければ山には登れないのだろうと思った。

しかし、そのインタビューの後、その登山家はヨーロッパ・アルプスで、まさにその局面に遭遇する。その時、彼はザイルを切るどころか、自分の命を顧みずにザイルパートナーを命がけで救助したのである。助かったのは奇跡で、ふたりとも死んで当然の状況だった。

口では冷酷なことを言っておきながら、その登山家はやはりパートナーとのザイルを切ることができなかった。

それは勇気なのだろうか、友情なのだろうか、それとも本能なのだろうか。

『運命を分けたザイル』という、実話を基に製作された映画を観たことがある。

この作品も、真正面からザイル問題と向き合っている。

1985年、若き英国人クライマーのジョーとサイモンは、南米ペルー、アンデス山脈にある標高6600メートル、シウラ・グランデ峰に挑んだ。その途中、ジョーは滑落して宙吊りになり、サイモンがザイルを握る状況になった。長時間、サイモンは必死にザイルを握り締めていたが、やがて限界を知る。そしてサイモンが選んだのは、ザイルを切ることだった。ジョーはクレバスへと落ちて行った。

その後、サイモンはひとりでベースキャンプに戻り、落胆しつつも荷物を畳んで帰る支度をしていた。その時だ。滑落したジョーが自力で生還してきたのである。驚きながらも、奇跡を心から喜ぶサイモン。だが、ザイルを切られたジョーはどう思っているのか。自分を捨てて行ったと恨(うら)んでいるのではないか、当然の選択と受け入れてくれているのか。しかし、その時には何も話さない。

帰国すると、サイモンは多くの人からザイルを切ったことを批判され、アルパインクラブからも脱会を求められる。追い詰められてゆくサイモン。そして、戸惑うジョー。その後はタイトル通り、ふたりの運命が大きく変わってゆく。

映画にはジョーとサイモン本人が出演している。ザイルを切った時、切られた時、自分が何を感じたか、相手に何を思ったか、その心理が淡々と語られる。サイモンの独白を聞くのは辛かった。

もし、そのような状況になった時、どう決断するのだろう。ザイルを切る方も切られる方も、何を思うのだろう。最後まで相手に望みを託すのか。限界まで耐え、一緒に滑落する道を選ぶのか。相手を救うために落ちた方の人間がザイルを切ることもあるかもしれない。そこに正解や誤りはあるのだろうか。

ザイルパートナーになる。

その重みが、胸に深く響く映画だった。